牛肉の質を格付けするときに、A5ランクといった表現をすることがあります。このような格付けはどのような基準で行われているのか、知らない人も多いでしょう。

そこで、牛肉を格付けするときに使われるアルファベットや、数字、評価の方法などについて解説していきます。

アルファベットは何を意味するの?

牛肉の格付けでは最高ランクが「A5」と言われていますが、そのアルファベットにはどのような意味があるのでしょうか。

アルファベットは歩留等級

歩留等級とは肉の取れる量を表すアルファベットのことです。枝肉から肉を小分けするときに、無駄なく肉が取れる割合をアルファベットで表現しているのです。

ちなみに、枝肉とは牛一頭から骨、皮、内臓などを取り除いた状態のことであり、その形が木の枝に似ていることから、枝肉という表現が使われているのです。

実は市場で肉の値段を決めるときに、この枝肉をベースに価格が決められていたのが主流でした。

ところが、近ごろは品種改良によって一頭当たりの枝肉の量が大きい種類も出てきたことから、部位ごとに切られた状態で値付けされることが増えてきました。

アルファベットの表す意味

アルファベットはAからCで評価されます。最もランクが低いのがC等級で、標準よりも劣る(基準値の69未満)であることを意味し、B等級が標準(基準値69以上72未満)、A等級が、標準よりも高いもの(基準値72以上)を意味しています。

数字は何を意味するの?

牛肉はアルファベットと数字の組み合わせで格付けされますが、その数字は肉質等級を意味しています。

肉質等級とは

肉質等級とは牛肉の品質を意味しています。数字を1〜5で分けて、数字が大きくなるにつれて、肉の質も高くなります。3が標準ですので、それ以下は肉質があまり良くない、3以上は肉質が良いということになります。

色やツヤも判定されている

牛肉の格付けは誰がどのような形で行っているのでしょうか。それは、審査員によって枝肉を1本ずつ審査、決定していきます。

全国の枝肉のうち10%を取引している芝浦にある市場では、毎日約200本もの枝肉が格付けされているのです。

脂肪交雑

肉の等級を決めるときの審査基準のひとつが、脂肪交雑になります、脂肪交雑とは霜降りの度合いを意味しています。

脂肪の色と光沢

脂肪の交ざり具合だけでなく、脂肪の色や光沢も重要なチェックポイントのひとつになってきます。

脂肪の色は、白またはクリーム色を基準として判定されますが、白色が強いものよりも、乳白色やクリーム色に近いもののほうが、脂肪の旨味が強いと考えられています。

ただし、脂肪の色については必ずしも色によって美味しさが変わってくるとは限りませんので、他の部分と合わせて総合的に判断することが多いようです。

また、脂肪のキメも食感を決める大切な要素になってきており、口の中に入れてとろけるような牛肉は脂肪のキメが細かいのが特徴です。

色沢

牛肉の色と光沢も、格付けの判断規準のひとつになります。一般的に肉の色は鮮やかで鮭のようなピンク色に近いものが良いと言われています。

しまりときめ

肉のしまりは審査員が目で見て判断して、それがランク付けに反映されるのです。一般的に、肉のキメが細かいと、肉質がやわらかいと言われています。

審査でわからないことも

牛肉のランク付け経験豊富な審査員によって、牛肉が格付けされるのですが、外見だけでは判断が難しいことが少なくありません。

それは、外見から内部の肉の状態まで把握することが難しく、過去の経験に頼る部分が多きいからです。

また、審査の時には味見をしないことも、ランク付けを難しくしている要因になっているでしょう。

そのため、格付けで高い評価を受けている肉が、必ずしも美味しいとは限らないのです。ただし、良い肉を見極める判断規準のひとつとして、格付けが参考になることも多いでしょう。